2021.11.25
枡の歴史を詳しく解説!現代の枡をつくったのはあの武将?!
お米を量るときやお酒を飲むときに使う枡ですが、一体いつから使われてきたのでしょうか?
今回は人の思いを乗せて、時代とともに変化してきた枡の歴史を詳しく解説します!
読むだけで枡の知識が身について、枡をより楽しんていただけたら幸いです。
1.枡の歴史
枡は、今から約1300年前から使われていたと言われています。「一升」(いっしょう)という単位は同じでも、その大きさは、長い間地域や時代によって変化していました。
その時代とともに変動する単位を統一したのが、戦国三英傑(せんごくさんえいけつ)の一人、豊臣秀吉です。豊臣秀吉が行った「太閤検地」によって、「一升」をはかるのに「京枡」を使用することが基準となり、現代にも用いられる「一升」という単位が定着しました。
太閤検地以降、量をはかる道具として使われてきた枡ですが、明治時代にはメートル法の導入によりその役割を終えます。
しかし、昭和30年代に日本酒を枡で飲む光景をテレビで取り上げられたことにより、酒器としての知名度も上がりました。その後現代にいたるまで、枡は量る道具としてのみならず、様々な用途で用いられるようになりました。
2.各時代における枡
2 – 1. 日本最古の枡:飛鳥~奈良時代
日本最古の枡は、奈良の平城京跡近くから出土した木枡です。
西暦701年に施行された「大宝律令」にて、量るという概念が提唱されていたため、恐らく1300年ほど前から量をはかるのに枡が使われていたと言われています。
四角い枡は、中国や朝鮮半島から伝承されたと伝えられています。
しかし、陶器や金属のはかりが主流の中国に対し、木の国である日本では、木製の四角い枡が発展しました。
そのため、木枡は日本の伝統工芸品と言えるでしょう。
2 – 2. はかりとしての枡:平安~室町時代
当時枡は、量をはかるのに使われ、あらゆるものの計量に用いられました。
穀物や酒、油だけでなく、芋や小魚、繭をはかる枡もあり、人間の食料を量る道具として浸透していました。
農民にとっては、穀物の種をまくときに始まり、収穫量を量り、地主に納める年貢を計算し、家族の翌年までの必要分を用意するためなど、1年を通じて欠くことのできないものでした。
枡の単位である「升」はその名前は同じでも、時代と地域によって大きさが異なりました。
それは、年貢として穀物を求めた領主が、少しでも多くの年貢を獲得するため、少しずつ大きくしたためです。
いつの時代も権力を持ったものが庶民から多くを搾取しようとする力こそが、そうさせたのだと言われています。
2 – 3. 枡の大きさが全国統一:安土桃山時代
変化していた枡の大きさを統一しようとしたのが、戦国三英傑である、織田信長、豊臣秀吉、徳川秀康です。
織田信長は、自由な商売を認めた経済政策である「楽市楽座」において、商業発展のためには、単位の統一が不可欠であるとしました。そこで、一升の量を統一しようと動き始めました。
その後、豊臣秀吉による「太閤検地」にて、当時京都で使用されていた「京枡」が年貢を納める基準とされました。土地ごとの生産量を把握して、効率よく年貢を取ることを目的とした太閤検地では、枡の均一性が重要だったのです。石高算出のため、日本で初めて一升の容量が全国統一で定義されました。その大きさは 「方4寸9分、深さ2寸7分」です。
しかし、徳川家康が江戸に入府した際に用いた「江戸枡」は「5寸、深さ2寸5分」でしたので、このように、しばらく「京枡」と「江戸枡」の二つの枡が基準として使われていました。
2 – 4. 京都と江戸に枡座が誕生: 江戸時代
徳川家康は江戸に入府した際に「江戸枡」という「京枡」とは形の異なる枡を使用しました。そのため、しばらく「京枡」と「江戸枡」の二つの枡が基準として使われていました。
江戸幕府の成立後、枡は京都と江戸それぞれに設けられた「枡座」によって製作から販売に至るまで厳しく管理されました。
このように、二つの基準が併用されていましたが、西暦1669年に京枡のみとなったのです。
大名の力が「百万石」のように米の収穫高で表すようになり、枡で測る単位は富や景気を表すようになりました。
2 – 5. 枡の新たな可能性:明治時代~現代
明治時代には、当時導入されつつあったメートル法に完全移行することで、枡は計量器としての役割を終えました。
はかりとしての役割を終えた枡ですが、その後も日本酒を飲むための酒器や、節分祭の豆まきに広く使用されています。また、枡の単位である「升」や「合」は、現在も「一合炊き」「一升瓶」のように私たちの暮らしに根付いています。
大橋量器は、日本の伝統の道具である「枡」の新たな価値を発信しつづけていきたいと思っております。
3.まとめ
今回は枡の歴史について、解説させていただきました。
1300年もの間、形を変えながら人々の生活に溶け込んできた枡は、これからも時代の流れに合わせ我々と共に生き続けるでしょう。
これからも枡の新たな可能性を探求していきたいと思います!
枡の未来に乞うご期待です!